米国における年金資産運用者の運用責任は、「プルーデントマン・ルール」として法律的に明確化されています。プルーデントマン・ルールは、1974年の従業員退職所得保障法=ERISA法で法制化され、正式に米国の連邦法で認められたものです。現在では、Uniform
Prudent Investor Actという法律によって、プルーデントマンがプルーデント・インベスターに置き換えられ、プルーデントマン・ルールは一層明確化されています。
プルーデントマン・ルールの源流は、1830年の判決内容に遡ります。
<判決内容>
投資者たる信託受託者に要求されることは、誠実に行動し、そして健全な思慮深さを持って行動しなければならないことである。
そして信託受託者は、プルーデントであり慎重であり知的である人間が、投機の観点からではなく、むしろ投資された資本の安全性と収益を考慮して、永続的な資金運営を行う場合に、どのような職務を遂行するであろうかということを考えなければならない。
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プルーデント=prudent の言葉そのものの意味は、「〈人・行為などが〉分別のある, 慎重な」です。プルーデントマン・ルールとは、その道のプロたる者は、思慮分別をもって慎重に業務を遂行さなければならないという一般的な決まりで、受託者責任の中での注意義務に関わるものです。資産運用に関しては、資産運用のプロフェッショナルとして、運用のリスクを十分に考慮に入れ、合理的かつ慎重に行わなければならないというルールです。
受託者の忠実義務には、二つの側面があります。
第一は、年金は受益者の利益だけのために運営されなければならず、受益者と年金運営の間に利益相反が発生した場合には、その年金や受益者に対して不利な選択をしてはならないという点です。
第二は、年金プランは、加入者と受益者に利益を供与し、適正な管理費用を支払うことだけを目的として運営されなければならない点です。
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