確定拠出年金=401kの仕組みの解説、資産運用・ポートフォリオ戦略に関する入門ガイド

初心者のための確定拠出年金(401k)入門ガイド

米国の受託者責任〜プルーデントマン・ルール


プルーデントマン・ルールの位置づけ


 米国における年金資産運用者の運用責任は、「プルーデントマン・ルール」として法律的に明確化されています。プルーデントマン・ルールは、1974年の従業員退職所得保障法=ERISA法で法制化され、正式に米国の連邦法で認められたものです。現在では、Uniform Prudent Investor Actという法律によって、プルーデントマンがプルーデント・インベスターに置き換えられ、プルーデントマン・ルールは一層明確化されています。

 プルーデントマン・ルールの源流は、1830年の判決内容に遡ります。

<判決内容>

 投資者たる信託受託者に要求されることは、誠実に行動し、そして健全な思慮深さを持って行動しなければならないことである。

 そして信託受託者は、プルーデントであり慎重であり知的である人間が、投機の観点からではなく、むしろ投資された資本の安全性と収益を考慮して、永続的な資金運営を行う場合に、どのような職務を遂行するであろうかということを考えなければならない。


 プルーデント=prudent の言葉そのものの意味は、「〈人・行為などが〉分別のある, 慎重な」です。プルーデントマン・ルールとは、その道のプロたる者は、思慮分別をもって慎重に業務を遂行さなければならないという一般的な決まりで、受託者責任の中での注意義務に関わるものです。資産運用に関しては、資産運用のプロフェッショナルとして、運用のリスクを十分に考慮に入れ、合理的かつ慎重に行わなければならないというルールです。

 受託者の忠実義務には、二つの側面があります。

 第一は、年金は受益者の利益だけのために運営されなければならず、受益者と年金運営の間に利益相反が発生した場合には、その年金や受益者に対して不利な選択をしてはならないという点です。

 第二は、年金プランは、加入者と受益者に利益を供与し、適正な管理費用を支払うことだけを目的として運営されなければならない点です。

【目次】

1.確定拠出年金=401kの仕組み
日本の年金制度の現状
今後の公的年金制度
確定拠出年金(401k)登場の背景
確定拠出年金(401k)の区分
企業型の確定拠出年金(401k)
個人型の確定拠出年金(401k)1
個人型の確定拠出年金(401k)2
確定拠出年金(401k)掛け金の取扱い
確定拠出年金(401k)の給付
確定拠出年金(401k)の受け取り方
確定拠出年金(401k)の運用
確定拠出年金(401k)掛け金の税制
確定拠出年金(401k)給付の税制
加入資格喪失と途中解約
運営管理機関等が破綻した場合
預金保険制度

2.米国の状況と受託者責任
米国の確定拠出年金(401k)制度
米国確定拠出年金(401k)制度の概要1
米国確定拠出年金(401k)制度の概要2
年金運用の受託者責任の重要性
年金の受託者責任ガイドライン
受託者責任ガイドラインの応用
■米国の受託者責任〜プルーデントマン・ルール


3.年金資産運用、ポートフォリオ戦略
確定拠出年金(401k)の資産配分
401k年金の資産配分の実例
ライフサイクルから見た年金運用
  1.積立局面
  2.統合局面
  3.消費・退職局面
確定給付型アセット・アロケーション
年金運用でのリスクとリターン
リスクの種類
年金会計の用語解説

プルーデントマン・ルールの内容


 その内容は、第一に、プルーデント・インベスターは資産運用の際には、株式・債券・転換社債といった個別の資産に注目するのではなく、ポートフォリオ全体のリスクとリターンとを最終目標として考慮しなければならないとされています。

 単独でみた時にいかにリスクが大きくても、ポートフォリオに組み込んだ場合にリスクが相殺できるのであれば、そのような商品への投資はプルーデントマン・ルールには反しません。

 第二には、分散投資を原則として定めています。プルーデントな投資とは、つまり合理的な分散投資であると明記されています。

 第三には、投資決定においては、インフレの影響を考慮しなければなりません。回避しなければならないリスクは、名目上の元本ではなく、実質価値であるということです。



> 確定拠出年金(401k)の資産配分


年金運用のために投資信託をもっと詳しく知りたい時は > 投資信託 辛口入門ガイド

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