401kの名前は、米国の税制を規定する「内国歳入法(Internal Revenue Code : IRC)」の条文に由来します。この法律に401条(k)項が追加されたのが1978年で、一定要件を満たす確定拠出年金の掛け金に対して所得控除(非課税)を認めるというものです。
1980年に施行ルールが決定されて以降、大企業を中心として普及が始まり、1986年の税制改革で更に優遇措置が導入されたことで、拡大に拍車がかかりました。
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【目次】
1.確定拠出年金=401kの仕組み
日本の年金制度の現状
今後の公的年金制度
確定拠出年金(401k)登場の背景
確定拠出年金(401k)の区分
企業型の確定拠出年金(401k)
個人型の確定拠出年金(401k)1
個人型の確定拠出年金(401k)2
確定拠出年金(401k)掛け金の取扱い
確定拠出年金(401k)の給付
確定拠出年金(401k)の受け取り方
確定拠出年金(401k)の運用
確定拠出年金(401k)掛け金の税制
確定拠出年金(401k)給付の税制
加入資格喪失と途中解約
運営管理機関等が破綻した場合
預金保険制度
2.米国の状況と受託者責任
■米国の確定拠出年金(401k)制度
米国確定拠出年金(401k)制度の概要1
米国確定拠出年金(401k)制度の概要2
年金運用の受託者責任の重要性
年金の受託者責任ガイドライン
受託者責任ガイドラインの応用
米国の受託者責任〜プルーデントマン・ルール
3.年金資産運用、ポートフォリオ戦略
確定拠出年金(401k)の資産配分
401k年金の資産配分の実例
ライフサイクルから見た年金運用
1.積立局面
2.統合局面
3.消費・退職局面
確定給付型アセット・アロケーション
年金運用でのリスクとリターン
リスクの種類
年金会計の用語解説
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米国で401kが誕生したのは、長引く景気低迷を打開するため、税金の恩典をつけて個人貯蓄を奨励し、その資金を企業に循環させるのが目的でした。
つまり、貯蓄率の低いアメリカ国民に対して老後の資金を確保するための自助努力の手段を提供すること、企業拠出とこの401kとを組み合わせて、従業員の忠誠心を養成し、企業を活性化すること、アメリカ経済全体の貯蓄率を高めることでアメリカ経済の成長率を高めること、等が目的と言われています。
通常、企業等にはさまざまな退職所得制度・年金制度があり、従業員にはある程度、どの年金制度を活用するかの裁量の余地があります。その中で、確定拠出年金制度(401k)は選択肢の一つではありますが、税制上の特典と企業からの補助があることから、極めて有利な年金制度となっており、アメリカでの人気は高いものとなっています。
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1997年末の確定拠出年金制度(401k)運用資産残高は約9500億ドルで、確定給付年金の資産残高とほぼ同じ規模です。加入企業は25万社、加入者数は3千万人以上です。
投資対象としては投資信託の人気が高く、新規流入資金の60%以上は投資信託で運用されていると言われています。
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企業側の要因としては、
■ 企業の奨励金をプロフィット・シェアリングと結びつけることが出来たこと
■ 制度が持つ従業員に対するインセンティブ機能が、企業に理解されていたこと
■ 米国では元々M&Aが活発であり、その中で401kによる自社株への投資が安定株主の確保に貢献したこと
■ 資産運用のリスクを従業員に転嫁でき、しかも管理・運用コストが相対的に低いこと
■ 確定給付型年金の税制上のメリットが縮小したこと
■ 福利厚生制度の一つであるカフェテリア・プランでの利用が可能なこと
などがあります。
従業員側の要因としては、
■ ポータビリティがあるので、雇用が流動化=離転職した場合でも不安が小さいこと
■ 拠出の上限が決まっているので、企業奨励金の率などが相対的に若い人にとって有利であること
■ 課税優遇措置が魅力的であること
などがあげられます。
> 米国確定拠出年金(401k)制度の概要1
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