確定拠出年金=401kの仕組みの解説、資産運用・ポートフォリオ戦略に関する入門ガイド

初心者のための確定拠出年金(401k)入門ガイド

401k年金の資産配分の実例


米国での調査データ


 確定拠出年金への資産シフトの動きは最近始まったものであるため、確定拠出型年金の運用パフォーマンスについてのデータは、特に日本ではまだ整備されていません。米国での調査・統計実績も、まだまだ十分とは言えない状況です。

 とはいえ、米国では幾らかの調査・統計は進められています。その実証データを見ると、従業員指図型の確定拠出型プランでは、退職時にそれまで受け取っていた賃金に十分とって代わることが出来ない程度の、保守的な、つまりリスクとリターンが小さい資産配分となっています。また、これは今のところ米国に特有の現象として、分散投資の概念を逸脱する水準まで、雇用先の株式=自社株に大きく依存していることが判明しています。

 以下は1996年にWall Street Journal に発表されたIOMA(Institute of Management and Administration)による確定拠出型年金プランでの全資産の分布状況調査です。対象となったサンプルは、合計1,060万人の参加者を持つ246社です。

自社株 42%
利率保証契約(GIC) 24%
株式 18%
バランス型 6%
債券 4%
キャッシュ 3%
その他 2%


 利率保証契約とは、預金タイプの利率が保証されたローリスク・ローリターンの金融商品だと考えれば良いでしょう。これは米国での調査ですので、日本の場合には、このデータよりも、自社株と株式のウエイトが低く、利率保証タイプの金融商品のウエイトが大きくなっていると想定されます。

【目次】

1.確定拠出年金=401kの仕組み
日本の年金制度の現状
今後の公的年金制度
確定拠出年金(401k)登場の背景
確定拠出年金(401k)の区分
企業型の確定拠出年金(401k)
個人型の確定拠出年金(401k)1
個人型の確定拠出年金(401k)2
確定拠出年金(401k)掛け金の取扱い
確定拠出年金(401k)の給付
確定拠出年金(401k)の受け取り方
確定拠出年金(401k)の運用
確定拠出年金(401k)掛け金の税制
確定拠出年金(401k)給付の税制
加入資格喪失と途中解約
運営管理機関等が破綻した場合
預金保険制度

2.米国の状況と受託者責任
米国の確定拠出年金(401k)制度
米国確定拠出年金(401k)制度の概要1
米国確定拠出年金(401k)制度の概要2
年金運用の受託者責任の重要性
年金の受託者責任ガイドライン
受託者責任ガイドラインの応用
米国の受託者責任〜プルーデントマン・ルール


3.年金資産運用、ポートフォリオ戦略
確定拠出年金(401k)の資産配分
■401k年金の資産配分の実例
ライフサイクルから見た年金運用
  1.積立局面
  2.統合局面
  3.消費・退職局面
確定給付型アセット・アロケーション
年金運用でのリスクとリターン
リスクの種類
年金会計の用語解説

年金資産運用のポイント


 まず第一には、従業員サイドの課題として、しっかりとした情報に基づいた投資判断を行う必要があります。従って、運用について十分な知識を個々人が習得することが求められています。

 第二に、運用手段の選択肢について、例えば極端に自社株への投資ウエイトを高めるなど、従業員が過度のリスクをとることなく、適切な引退後の資産を蓄積できるように、リスクとリターンの可能性が十分広範囲にわたるように、企業サイドで金融商品を提供しなければなりません。

 第三に、確定拠出型プランの積立資産への拠出金額は、引退後の十分な代替収入を可能とする程度に、十分大きな資産規模でなくてはなりません。これは拠出する企業サイドの課題であるとともに、その資産を受け取って以後運用をしていく従業員にとっても課題となります。

 最後に、管理コストや運用報酬など、資産を目減りさせてしまう運用・管理上の諸コストについては、企業サイドではプランの資産価値自体を減らしてしもうことがないように、十分に管理されなければなりません。

 また他方、従業員側でも、単純なリスクとリターンとの比較で運用する金融商品を決定するだけでなく、管理・運用コストの大小が将来の資産価値を決める上で重要な要因となりうることを、十分に認識しておく必要があります。



> ライフサイクルから見た年金運用 1.積立局面


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